伊礼 智

Dedigner - Satoshi Irei

20年、30年先を見越して永く飽きのこない住まいとすることは、住まいの耐久性と同じくらい大切なこと。伊礼智さんの考える住まいは、いつもシンプルでそれでいて滋味にあふれ、豊かな空間をつくりだします。この記事では、伊礼さんと相羽建設の出会いや、取り組んできた家づくりの一端をご紹介します。

ソーラータウン久米川からi-worksへ

独立して間もなくOM研究所で活動されていた伊礼智さんに「ソーラータウン久米川」(分譲住宅)の仕事を依頼したことが、伊礼さんと相羽建設との協働のはじまりでした。学生時代から建築家の宮脇檀さんとハウスメーカーが協働した分譲住宅の仕事に興味をもっていた伊礼さんは依頼を快諾。「永く住み続けられる住まい」をテーマに、当時OM研究所の副署長だった永田昌民さんと共に勉強会を積み重ね、全棟にOMソーラーを搭載した、パッシブで住み心地の良い家を提案してくださいました。

住まいの質を向上させる「設計の標準化」

ソーラータウン久米川を計画する際に、伊礼さんの打ち出した仕組みが「設計の標準化」。玄関、階段、浴室、洗面所、トイレなど各空間の仕様を標準化し、その上で住まい手の要望や敷地に合わせ手早く設計をまとめました。設計の標準化はコストや手間の削減だけでなく、回数を重ねるごとに設計の精度を高めることができ、その後の住宅業界でも高い評価を得ています。ソーラータウン久米川での仕事は分譲住宅の世界に一石を投じた出来事となりました。
「お互いに知恵を出し合い、切磋琢磨し、成果を住まい手に還元する。設計者と工務店の良い関係をつくり出すことができた。相羽建設の掲げる“つながる人全ての暮らしを豊かにする”というモットーそのものと言っていい仕事でした」と伊礼さん。

多くの人にi-works-projectを体験してもらう場を

その後多くの家づくりの協働を続け、規格住宅「i-works-project」を発足。2015年に相羽建設のモデルハウス「つむじ」内に「i-works-project3.0」を建築し、訪れる多くの人に伊礼さんのつくる家を体感してもらう機会となります。建物内には「建築空間から発想する家具」として伊礼さんの考える家具も。空間との絶妙なバランスと落ち着きをもたらす置き家具や収納家具の素材には、長年の仕事の中で信頼をおく素材メーカーから、日本のみならず世界各地の誠実な林業家とのつながりによって提供してもらったものを用いています。

伊礼 智|建築家
1982年琉球大学理工学部建設工学科計画研究室卒業後、1985年東京藝術大学美術学部建築科大学院修了。丸谷博男+エーアンドーエーを経て、1996年伊礼智設計室開設。2005年より日本大学生産工学部建築工学科「居住デザインコース」非常勤講師。2012年「i-works project」建築家・工務店・メーカーの協業による豊かな住まいづくりを立ち上げる。2013年「i-works project」でグッドデザイン賞、2014年「守谷の家」でグッドデザイン賞受賞。